日本の現代美術に関心を抱く海外在住のキュレーターを招聘するレジデンスプログラムです。
日本で活動する様々なアーティスト、美術館、国際展、ギャラリーなどの調査、交流の機会を提供し、
その成果を海外の舞台で発信してもらうことで、日本の現代美術の国際的な発信を後押しします。
2026国際選考委員会
- 片岡真実
- 森美術館 館長、選考委員長
- ラーナ・デヴェンポート
- 南オーストラリア州立美術館 元館長[アデレード]
- グレン・ラウリィ
- ニューヨーク近代美術館 元館長
- フランシス・モリス
- テート・モダン 名誉館長[ロンドン]
- スハーニャ・ラフェル
- M+館長[香港]
- ユージン・タン
- ナショナル・ギャラリー・シンガポール 館長、シンガポール美術館 館長
PICK UP
⼀般財団法⼈森現代芸術財団(MoriCAF)は、キュレーターレジデンスプログラム2026」の
採択者にマリア・ブレヴィンスカ、今関友⾥⾹、フィリップ・ピロット、篠⽥弥⽣を選出しました。
※姓のアルファベット順、敬称略
マリア・ブレヴィンスカ
レジデンス採択プロジェクト:「フェーズ– 母なる大地 ―〈もの派〉を記憶する」

ザヘンタ国立美術館キュレーター
ワルシャワ在住
ワルシャワのザヘンタ国立美術館で長年にわたりキュレーターを務め、多くの重要な展覧会を企画。著名な美術館の方向性の形成に携わる。ポーランド初の戦後日本美術を含む東アジアの展示を企画したキュレーターで、同分野における国際的な学術交流にも貢献。本レジデンスでは、1960年代後半の東京で生まれた前衛芸術〈もの派〉を現代のエコロジー的視点から再考する。本レジデンスの調査成果は、2027から28年にかけて、ポーランドのクラクフ現代美術館(MOCAK)にて展示予定。主な企画にウジャドゥスキー城現代美術センター(ポーランド、ワルシャワ)における「ゲンダイ:日本の現代美術−身体と空間の間」(2000-03年)、川俣正の個展と常設インスタレーション (2001-03年)のほか、草間彌生の個展 がある。近年の企画に「集団と個の狭間で-1950年代から60年代の日本前衛美術」ザヘンタ国立美術館(2021年)や「鴨治晃次展|不必要な物で全体が混乱しないように」ワタリウム美術館(2025年)など。
今関友里香
レジデンス採択プロジェクト:「1945年以降の日本の女性アーティスト」展(2026年9月-2027年2月)のための調査および日本の先駆的な女性アーティストの調査。

インディペンデントキュレーター/リサーチャー
ルクセンブルク現代美術館リサーチアシスタント
ロンドン在住
ロンドン大学ゴールドスミス校でキュレーション修士号を取得後、日本の現代美術を中心にトランスナショナルな視点で調査・キュレーションを行う。脱植民地主義的およびクィア・フェミニズムを理論的基盤とする学際的アプローチを軸に活動している。この視座は、ホーニマン博物館(ロンドン)での「Chá, Chai, Tea」展(2023-24年)に外部アドバイザーとして調査に携わった際にも活用され、現在取り組んでいるルクセンブルク現代美術館の「1945年以降の日本の女性アーティスト」展にも継承されている。過去にはジャパンハウス・ロンドンでプログラミング・オフィサー(展覧会担当) (2023-24年) を務め、ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズなどでゲスト講師として招聘された。
フィリップ・ピロット
レジデンス採択プロジェクト:「バンドンの亡霊たち──アジア・アフリカの政治的想像力」展のための調査。

シュテーデル造形芸術大学(フランクフルト)美術史教授
インディペンデント・キュレーター
1972年生まれ、ブリュッセル在住
ヨーロッパ、アジア、アフリカを横断しながら、植民地主義の歴史や非西洋的な知のあり方を手がかりに、異文化間の対話、批評的な歴史叙述、新たなキュラトリアル実践を探求する展覧会を多数企画してきた。本レジデンスでは、1955年のバンドン会議に着想を得た新たな展覧会企画に向け、日本の戦後美術とアジア・アフリカ間の文化的連帯の関係を調査する予定。主なキュレーションに「Arus Balik: From Below the Wind to Above the Wind and Back Again」NTUセンター・フォー・コンテンポラリー・アート(シンガポール、2019年)、「Seeing in the Dark」(釜山ビエンナーレ、2024年)がある。また、2019年から2022年にはドクメンタ・コミッションのメンバーとして、アジア初のアーティスティック・ディレクターとなったルアンルパの選出において重要な役割を果たした。
篠田弥生
レジデンス採択プロジェクト:「思考を紡ぐ、自己を織りなす」

ネルソン・アトキンス美術館(カンザスシティ、米国ミズーリ州)
日本美術、アソシエイト・キュレーター
1980年生まれ、米国プレイリー・ヴィレッジ在住
日本美術史と物質文化を専門とし、伝統と革新、地域性と国際性の交錯を探る展覧会を企画してきた。文化的文脈の中で素材や技法がいかにアイデンティティや社会的価値を形づくるかに関心を寄せ、作品と社会、歴史のあいだに生まれる対話を重視している。本レジデンスでは、「思考を紡ぐ、自己を織りなす」と題し、織り、染め、縫い、結ぶといった繊維的実践を通じて、現代日本のアーティストがジェンダー、ハイブリディティ、文化的帰属などをどのように検証、表現しているかを調査する予定。素材の継承と革新の関係を再考し、繊維芸術を文化的記憶と創造を結ぶ表現領域として位置づけることを目指す。ネルソン・アトキンス美術館での主なキュレーションに「Weaving Splendor: Treasures of Asian Textiles」(2021年)、巡回展「Hokusai: Waves of Inspiration from the Museum of Fine Arts Boston」(2024年)と同時開催の「Hokusai: Masterpieces from the Spencer Museum of Art, the Richardson-North Collection, and The Nelson-Atkins Museum of Art」(2024年)がある。
キュレーターレジデンスプログラム2026の採択者は、来年2月以降に順次来日し、日本のアーティストのリサーチや、美術関係者との交流などを行います。
2026国際選考委員会
片岡真実(森美術館 館長、選考委員長)
ラーナ・デヴェンポート(南オーストラリア州立美術館 元館長[アデレード])
グレン・ラウリィ(ニューヨーク近代美術館 元館長)
フランシス・モリス(テート・モダン 名誉館長[ロンドン])
スハーニャ・ラフェル(Ⅿ+館長[香港])
ユージン・タン(ナショナル・ギャラリー・シンガポール 館長、シンガポール美術館 館長)